航空貨物はバラ積みされません。ワイドボディ機のロワーデッキ(ベリー)や貨物専用機のメインデッキを飛ぶ貨物のほとんどは、 ユニットロードデバイス、すなわち ULD(航空搭載用コンテナ・パレット)と呼ばれる搭載機材に載せて運ばれます。ULD には、 カーゴネットで固定するアルミ製パレットと、機体の胴体形状に合わせた密閉型コンテナの2種類があります。サイズは IATA の ULD 規則で標準化されているため、ソウルのフォワーダーとフランクフルトのハンドラーが「PMC」と言えば、まったく 同じ寸法を指すことになります。本ガイドでは実務上重要な寸法を一覧にし、つまずきやすい高さ制限とコンター(輪郭) 制限を説明したうえで、BUP 料金が ULD の形状をどのように費用に変換するかを解説します。
航空貨物用パレット
航空貨物用パレットは、縁にシートトラックを備えた平らなアルミ製の板です。貨物はこの上に積み付けてラッピングし、 定格のネットで固定します。木製の 倉庫用パレットとは異なり、パレット自体が航空機の搭載機材であり、 航空会社に登録されたうえでフライト後に返却されます。
| 種類 | ベース寸法 (in) | ベース寸法 (cm) | 最大総重量目安 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| PMC / P6P | 96 × 125 | 244 × 318 | ≈6,800 kg | 主力機材。ワイドボディ機のロワーデッキおよび貨物専用機のメインデッキで使用 |
| PAG / P1P | 88 × 125 | 224 × 318 | ≈6,000 kg | 旧来の規格。現在も多くの機材で使用 |
| PLA | 60.4 × 125 | 153 × 318 | ≈3,000 kg | 小口混載向けのハーフパレット |
| PGA | 96 × 238.5 | 244 × 606 | ≈11,300 kg | 貨物専用機のメインデッキ向け20フィートパレット。大型貨物に対応 |
重量上限はあくまで目安です。実際にその便で許容される総重量は機材の種類と ULD の搭載位置によって変わるため、 最終的な数値は本表ではなく航空会社のブッキング確認書を基準にしてください。
航空貨物用コンテナ
コンテナ(航空会社は俗に「キャン」と呼びます)は密閉型の箱で、多くは片側が斜めにカットされており、機体の湾曲した 胴体に沿う形状(コンター)になっています。この傾斜があるため、航空用コンテナの実際に使える容積は、直方体として 計算した見た目の容積より小さくなります。
| 種類 | ベース寸法 (cm) | 高さ (cm) | 容積 | 最大総重量目安 | 搭載機体 |
|---|---|---|---|---|---|
| AKE (LD3) | 156 × 153 | 163 | ≈4.3 m³ | ≈1,588 kg | すべてのワイドボディ機のロワーデッキに搭載可能。標準的なベリーコンテナ |
| AKH (LD3-45) | 156 × 153 | 114 | ≈3.5 m³ | ≈1,134 kg | A320 ファミリーのロワーデッキ |
| AAP (LD9) | 318 × 224 | 163 | ≈10.5 m³ | ≈4,600 kg | PAG と同じベース寸法のコンテナ。ワイドボディ機のロワーデッキ向け |
| AMA | 318 × 244 | 244 | ≈17 m³ | ≈6,800 kg | 貨物専用機向けのメインデッキ用コンテナ |
高さ制限: 同じパレットでも上限は3通り
上記のベース寸法は固定ですが、積み上げられる高さは固定ではありません。ULD が搭載される機内の位置によって 変わります。
ロワーデッキ(ベリー): PMC や PAG で積み上げ可能な高さは約160〜163 cm(64 in)です。貨物室の 湾曲に合わせて上部の角が斜めにカットされます。旅客機での一般貨物のほとんどはこの制限を基準にします。
メインデッキ(貨物専用機の標準ポジション): 高さは約244 cm(96 in)です。機体壁面に接する ポジションでは、肩の部分がコンター形状にカットされます。
メインデッキ(高さのあるポジション、例: 747F のセンターポジション): 最大で約300 cm(118 in)まで積み上げ可能です。「747には小型トラックも丸ごと積める」と言われる根拠となる数値です。
実務上の帰結として、高さ170 cmの貨物は、どれだけ軽くても旅客機のベリーには一切搭載できません。貨物の高さが 約160〜300 cmの範囲にある場合、ルーティングを決めるのは運賃ではなく利用可能な機材です。何よりも先に、貨物の 高さをフォワーダーに伝えてください。
BUP: フォワーダーが ULD を構築する仕組み
通常、ULD はターミナルで航空会社自身が構築します。バルク・ユニタイゼーション・プログラム(BUP)では、これに 代わって航空会社が空の ULD をフォワーダーに引き渡し、フォワーダーが自社倉庫で構築したうえで、封印・ コンターチェック・ネット掛けまで済ませたフライト対応可能な状態で返却します。フォワーダー側で構築されたユニットは 航空会社側の構築待ち行列をスキップできるため、一般にカットオフが遅くなり、到着地での引き渡しが早まり、貨物への ハンドリング回数も減ります。
この仕組みの経済的な核心はピボットウェイト(基準重量)です。BUP の料金は ULD 単位で設定されるのが一般的で、 合意されたピボットウェイト(PMC の場合、多くは4,000〜5,000 kgの範囲)までは定額、それを超えると kg あたりの 従量課金が加算されます。一方でフォワーダーは、荷主ごとに チャージャブルウェイト(請求対象重量)で課金します。うまく 積み付けたパレットが生む収入とそのコストの差が混載マージンであり、だからこそフォワーダーは、目一杯まで高く、 コンターぴったりに、タイトにパレットを組むことに強くこだわります。
ULD のベースサイズに合わせた貨物計画
概算のフィットチェックでは、ULD を単純な箱として扱います。PMC のベース寸法318 × 244 cm、ベリーでの積み上げ 高さ160 cmの場合、上部の角のカットで多少目減りする前の容積はおよそ10.8 m³です。積み付けで効くのは巧みな段積みよりも、
ベースを効率よく敷き詰めるカートン選びです。318 cm の辺は53、 63.5、79.5 cmのカートンできれいに割り切れ、縁に沿ったデッドスペースは ULD 単位の料金上、そのまま失われる収入に なります。構築しながら重量を確認し、容積の上限とピボットウェイトに同時に到達するのが最適な積み付けです。
CBM 計算ツールを使えば、目指すべき密度の目標値がわかります。
ULD 型式コードの読み方
すべての ULD ID は同じ IATA のパターンに従い、アルファベット3文字・シリアル番号・所有者コードの順で構成されます。 例えばPMC 45231 KEのように表記されます。1文字目はカテゴリー(P = パレット、A = 認定コンテナ)、 2文字目はベースサイズ(M = 96×125 in、A = 88×125 in、K = LD3 ベース)、3文字目はコンターまたは互換バリアントを 表します。完全なデコード表を必要とする場面はほとんどなく、PMC、PAG、PLA、AKE、AKH を覚えておけば、航空運送状の 大多数はカバーできます。