パレットサイズの標準規格は、世界で1つに決まっているわけではありません。国際規格のISO 6780も単一の寸法を定めておらず、地域ごとに使われている主要規格6種類を並べて認めています。日本ならT11型(1100×1100mm)、欧州ならユーロパレット(EPAL、1200×800mm)、北米なら48×40インチというように、「標準」は地域によって変わります。
規格が合わないと、費用は2つの形で表れます。1つは、着地の倉庫でパレットラックや荷役機器に合わず、受け入れや保管で問題が起きることです。もう1つは、コンテナの床に使われない隙間が残り、同じ本数でも運べる量が減ることです。この記事では、基準となる米国のGMAパレットとユーロパレットを軸に、地域別の規格、仕向地ごとの選び方、耐荷重の読み方までを解説します。
基準になる2つの規格:GMAパレットとユーロパレット
GMAパレット(米国・48×40インチ)
GMAパレットは、米国の48×40インチ(1219×1016mm)規格のパレットです。米国の標準パレットとして扱われる代表的な寸法で、米国で新たに作られる木製パレットの約30%を占めています。ほかの寸法も使われているため、米国向けの貨物がすべてこの寸法というわけではありません。
パレット自体の重量は約37lb(17kg)が典型的です。高さは木製パレットで約14~16cmが目安で、CargoSumのパレット積み付けツールではGMAのデッキ高さを14.5cmとして計算しています。
耐荷重は製品によって異なります。一例として、北米のレンタルパレット(パレット共同利用)を運営するCHEPの48×40インチ・ブロック式パレットは、通常の使用条件で等分布荷重2,800lbを想定して設計されています。ブロック積みの場合は最大5段・10,000lb以下まで重ねられ、ラックでは外周のブロックで支え、縦横どちらの方向でも中間の支えなしで載せられる仕様です。ただし、これはこの製品1種類の値で、GMAパレット全体の等級ではありません。
ユーロパレット(EPAL 1・1200×800mm)
ユーロパレット(EPAL)は1200×800×144mmで、インチでは約47.2×31.5インチです。パレット自体の重量は約25kg、安全使用荷重は1,500kgです。荷を積んだパレットを積み重ねた場合、最下段のパレットには最大5,500kgまでの負荷が認められています。
注意したいのは、「ユーロサイズ」と「EPAL認証品」が別物だという点です。寸法はどちらも1200×800mmですが、EPALの刻印があるパレットは品質管理と規定どおりの修理の対象となり、欧州のパレット交換の仕組みで流通します。一方、刻印のない同寸法のパレットには交換価値がありません。
幅800mmは欧州のトラック輸送とも相性のよい寸法です。トレーラーの荷台の幅を約2.4mとすると、800mmの辺を横に3枚並べても(800×3=2,400mm)、1200mmの辺を横に2枚並べても(1200×2=2,400mm)、隙間はほとんど残りません。
床面積の比較
同じ縮尺で並べると、床面積はGMAが約1.24m²(1.2192×1.016=1.2387)、ユーロパレットが0.96m²、T11(1100×1100mm)が1.21m²です。GMAはユーロパレットの約1.29倍、つまり約29%広い面積があります。
地域別パレット規格一覧(ISO 6780・JIS)
ISO 6780の主要規格は、1219×1016、1200×1000、1165×1165、1067×1067、1100×1100、1200×800mmの6種類です。1140×1140mmはこの6種類に含まれません。下の表は、このうち1067×1067mmを除く5種類に、ISO 6780外のハーフパレット(800×600mm)を加えたものです。
| 規格 | 寸法(mm) | 寸法(インチ) | 主な使用地域 |
|---|---|---|---|
| GMAパレット(ISO 6780) | 1219×1016 | 48×40 | 北米 |
| ユーロパレット/EPAL 1(ISO 6780) | 1200×800 | 47.2×31.5 | 欧州 |
| 1200×1000/EPAL 2(ISO 6780) | 1200×1000 | 47.2×39.4 | 欧州・英国・アジアの海上輸送 |
| T11(ISO 6780) | 1100×1100 | 43.3×43.3 | 日本・韓国・東南アジア |
| オーストラリア標準パレット(ISO 6780) | 1165×1165 | 45.9×45.9 | オーストラリア |
| ハーフパレット/EPAL 6(ISO 6780外) | 800×600 | 31.5×23.6 | EUの小売店頭 |
1200×1000mm(EPAL 2)
1200×1000mmはISO 6780の規格で、欧州・英国のほか、アジアの海上輸送でも使われます。EPAL 2の仕様は1200×1000×162mm、パレット自体の重量は約35kg、安全使用荷重は1,250kgです。
T11(1100×1100mm)とJISの共通寸法
T11型の1100×1100mmは、ISO 6780でアジアの規格として挙げられている寸法です。日本ではJISの平パレット共通寸法に含まれ、一貫輸送用の平パレットとして使われています。JIS Z 0601は「プールパレット―一貫輸送用平パレット」を定めた規格です。
JISの平パレット共通寸法は次の7種類です(プラスチック製は1440×1130mmを追加)。
- 1100×800mm
- 1100×900mm
- 1100×1100mm
- 1300×1100mm
- 1400×1100mm
- 1200×800mm
- 1200×1000mm
1200×800mmと1200×1000mmも共通寸法に含まれており、欧州で使われる寸法もJISの規格の範囲に入っています。
オーストラリア標準パレット(1165×1165mm)
オーストラリア標準パレットは1165×1165mmで、ISO 6780の6種類に含まれます。ただし、ISO規格の20フィート・40フィートコンテナには寸法が合いません。
ハーフパレット(EPAL 6・800×600mm)
ハーフパレットはユーロパレットを半分にした800×600×144mmで、ISO 6780の6種類には入っていません。パレット自体の重量は約9.5kg、安全使用荷重は750kg、積み重ねた場合の最下段の負荷は最大1,500kgです。
仕向地別の選び方
米国向け
米国向けはGMAパレット(48×40インチ)が基準です。倉庫のパレットラックやハンドパレットトラック、スリップシート(パレットの代わりに使う薄いシート)も、この寸法を前提にしていることが一般的です。
EU向け
欧州のパレット交換の仕組みに乗せる貨物なら、ユーロパレットを選びます。海上輸送では1200×1000mmも選択肢になります。40フィートコンテナの床(12,032×2,352mm=28.3m²)で比べると、ユーロパレット25枚の占有面積は25×0.96=24.0m²、1200×1000mmを向きを組み合わせて22枚積んだ場合は22×1.2=26.4m²です。1200×1000mmを同じ向きで20枚積むなら24.0m²となり、ユーロパレットと変わりません。
アジア域内
着地の荷役側がT11を求めるなら1100×1100mmにします。指定がなければ、段ボールを最も無駄なく並べられる規格を選びます。候補の規格ごとにパレット積み付けツールで1段あたりの個数と段数を比べると判断できます。
海上コンテナ
40フィートドライコンテナの内寸幅は2,352mmです。ユーロパレットを向きを変えて2列に並べると1200+800=2,000mmで352mm余り、GMAパレットでは1219+1016=2,235mmで117mm余ります。GMAを同じ向きで2列にすると1016×2=2,032mmです。どの基準規格も、コンテナの幅に合わせて設計されたものではありません。
1段で積む枚数は次のとおりです。
- ユーロパレット:25枚。800mmを長さ方向にした15枚(12,000mm)と、1200mmを長さ方向にした10枚(12,000mm)を組み合わせ、幅は2,000mm
- GMAパレット:20枚。1016mmを長さ方向にした11枚と、1219mmを長さ方向にした9枚を組み合わせ、幅は2,235mm。配置によっては21枚とする例もあります
コンテナ別の枚数はコンテナ1本に積めるパレット数、各コンテナの内寸はコンテナの寸法で確認できます。
ケーススタディ:同じ貨物で規格を比べる
ケース1:アジアからドイツの物流センターへ、ユーロとGMAのどちらを使うか
アジアからドイツの物流センター(DC)へ、段ボール600個を送るケースです。段ボールは40×30×25cm、1個8kgで、物流センターはどちらの規格でも受け入れ可能とします。積み付け高さの上限はパレット込みで180cmです。
GMAパレットの場合、1段に3×3=9個並び、段数は(180−14.5)÷25=6.62で6段となります。1パレット54個で、必要なパレットは12枚です(GMAの計算結果)。
ユーロパレットの場合は1段に4×2=8個で、段数は(180−14.4)÷25=6.62で同じく6段です。1パレット48個となり、必要なパレットは13枚です(ユーロパレットの計算結果)。
重量の上限1,000kgは、どちらの場合も制約になりません。1段の重さはGMAで72kg、ユーロで64kgのため、重量だけなら13段・15段まで積める計算です。
パレット単位ではGMAが有利に見えますが、40フィートコンテナを満載すると結果が逆転します。
- ユーロパレット:25枚×48個=1,200個
- GMAパレット:20枚×54個=1,080個(21枚積めれば1,134個)
さらに、ユーロパレットはドイツ国内の交換の仕組みで回収されるため、廃棄費用がかかりません。重量もユーロパレット1枚あたり段ボール384kgとパレット自体の約25kgで、25枚でも約10.2tと、40フィートコンテナの最大積載重量(26,840~28,750kg)を大きく下回ります。物流センターがGMAを指定していないなら、コンテナ1本あたりでは小さいユーロパレットのほうが多く運べます。
ケース2:米国とEUの両方に出荷する場合
同じ貨物を米国とEUの両方に出す場合、1200×1000mmを共通規格にする方法があります。GMAより長さが19mm、幅が16mm小さいため、米国の多くのラックに収まるとされています。40フィートコンテナには、同じ向きで20枚(2列×10枚)、1000mmを長さ方向にした12枚と1200mmを長さ方向にした10枚を組み合わせれば22枚(幅2,200mm)積めます。
ただし、1200×1000mmはユーロパレット(EPAL 1)の交換の仕組みの外にあります。また、米国の自動化倉庫には48×40インチ以外を受け付けないところもあるといわれます。共通規格にする前に、両方の着地で受け入れ条件を確認しましょう。
材質による違いとISPM15
木製パレット(ストリンガー式・ブロック式)
木製パレットには、桁(ストリンガー)でデッキを支えるストリンガー式と、角材のブロックで支えるブロック式があります。どちらも最も安価で、壊れても修理できるのが利点です。GMAパレットの重量は約37lb(17kg)が典型的です。
国境を越える場合は、ISPM15(熱処理=HTマーク)への対応が欠かせません。ISPM15は木材梱包材の国際基準で、樹皮を除いたうえで熱処理(HT)などを行い、刻印を押すことを求めています。未処理の木材は検疫の対象になります。
プラスチックパレット
樹脂製のプラスチックパレットは木材ではないため、ISPM15の対象外です。衛生管理が求められる食品や医薬品の用途に向いています。ただし、ラックに載せた場合の耐荷重が床置きより大きく下がる製品もあるため、ラック荷重の等級を必ず確認しましょう。
プレスウッドパレット
プレスウッドパレットは、木材を圧縮成型して作るパレットです。合板・OSBなどの加工木材と同じく、一般にISPM15の対象外として扱われます。入れ子にして重ねられるため空パレットがかさばらず、回収しない片道の輸出や中程度の荷重に向いています。
耐荷重の読み方:静荷重・動荷重・ラック荷重
パレットの耐荷重には3つの区分があり、どの状態の値かで数字が大きく変わります。
- 静荷重:平らな床に置き、荷重が均等にかかった状態の値。3つの中で最も大きい
- 動荷重:フォークリフトやハンドパレットトラックで運んでいる最中の値
- ラック荷重:ビームラックで縁だけを支えた状態の値。3つの中で最も小さく、超えるとラックからの崩落のおそれがある
大小関係は静荷重、動荷重、ラック荷重の順です。例えばEPAL 1は、積み重ねた場合の最下段の負荷が最大5,500kgなのに対し、安全使用荷重は1,500kgです。先に挙げたCHEPの48×40インチ・ブロック式パレットも、ブロック積みでは10,000lbまで重ねられますが、等分布荷重は2,800lbです。
着地の倉庫が選択式のパレットラック(ビームラック)で保管するなら、ラック荷重の等級を基準にパレットを指定します。1段の個数・段数・高さの上限といった積み付けの形はパレット積み付けツールで計算でき、並べ方の種類は1パレットに積める箱の数で解説しています。
費用に跳ね返る規格指定のミス
パレットの寸法・重量を貨物に含めない
パレットは高さを約14~16cm、重量を約17~35kg(GMA 17kg、EPAL 1 25kg、EPAL 2 35kg)上乗せします。これを申告から漏らすと、容積重量や密度(1立方フィートあたりの重量)の計算が狂い、運送会社の再計量・再検査(W&I:Weight & Inspection)で追加費用を請求される原因となります。CargoSumの密度計算などのツールでは、寸法と重量にパレット分を含めて入力します。詳しくは貨物密度の計算方法をご覧ください。
未処理の木製パレットで国境を越える
HTマークのない木製パレットは、着地で燻蒸・パレットの積み替え・積み戻しの対象になる場合があります。遅延と処理費の両方が発生し、扱いは国によって異なります。
静荷重をラック荷重と読み違える
ラック荷重は静荷重の半分に満たないことがあります。EPAL 1では1,500÷5,500=約27%、CHEPの例では2,800÷10,000=28%です。静荷重の数字を見てラックに過積載すると、崩落の危険があるうえ、倉庫で受け入れを断られる原因にもなります。
交換を前提にした輸送で「ユーロサイズ」と指定する
寸法が同じでも、EPAL認証のないパレットは交換の仕組みで受け取ってもらえません。その結果、輸送のたびにパレット代が全額かかります。交換を前提にするなら、「EPAL認証品」と明記して指定しましょう。
段ボールと照らし合わせずにパレットを選ぶ
同じ段ボールでも、規格によって床面を使える割合が変わります。40×30cmの段ボール(1個0.12m²)の場合、ユーロパレットには8個×0.12=0.96m²で面積の100%を使えます。一方、GMAパレットは9個×0.12=1.08m²で、1.08÷1.2387=約87%となり、約13%が使われずに残ります。パレットを手配する前に、実際の段ボールで候補の規格を2つとも試しておきましょう。
日本の標準パレットサイズは?
日本の代表的な規格はT11型と呼ばれる1100×1100mmの平パレットで、一貫輸送用としてJISに規格化されています。JISの平パレット共通寸法は1100×800、1100×900、1100×1100、1300×1100、1400×1100、1200×800、1200×1000mmの7種類で(プラスチック製は1440×1130mmを追加)、1100×1100mmはISO 6780の主要規格にも含まれています。
T11パレットの「T」の意味は?
「T」は一貫輸送(Through Transit)を表し、「11」は1100×1100mmの寸法を指します。発地から着地まで荷物を積み替えずにパレットごと運ぶ一貫輸送用の平パレットという意味で、日本国内の標準的なパレットサイズです。
アメリカの標準パレットサイズは?
米国ではGMAパレットと呼ばれる48×40インチ(1219×1016mm)が代表的な規格です。米国で新たに作られる木製パレットの約30%を占め、パレット自体の重量は約37lb(17kg)が典型的です。ほかの寸法も使われるため、米国向けは納品先の指定寸法を事前に確認しましょう。
ユーロパレットのサイズは?
ユーロパレット(EPAL 1)は1200×800mm(約47.2×31.5インチ)、高さ144mmです。パレット自体の重量は約25kg、安全使用荷重は1,500kgで、荷を積んだパレットを積み重ねた場合、最下段のパレットには最大5,500kgまでの負荷が認められています。
パレットの高さは何cmですか?
木製パレットの高さは約14~16cmが目安です。ユーロパレット(EPAL 1)は144mm、1200×1000mmのEPAL 2は162mmです。パレットの高さと重量(約17~35kg)は貨物の寸法・重量に含めて申告する必要があり、漏れると容積重量や密度の計算が狂い、運送会社の再計量で追加費用が発生する原因となります。
輸出には熱処理済みのパレットが必要ですか?
木製パレットで国境を越える場合は、ISPM15(木材梱包材の国際基準)に沿った熱処理などの処理とHTマークなどの刻印が必要です。未処理の木材は検疫の対象となり、燻蒸・パレットの積み替え・積み戻しにつながる場合があります。プラスチックパレットは木材ではないため対象外で、合板・OSBなどの加工木材や、木材を圧縮成型したプレスウッドパレットも一般に対象外とされます。
ユーロパレットとEPALパレットの違いは?
寸法はどちらも1200×800mmで同じです。違いは認証の有無で、EPALの刻印があるパレットは品質管理と規定どおりの修理の対象となり、欧州のパレット交換の仕組みで流通します。刻印のない同寸法のパレットは交換の対象にならず、交換を前提にした輸送では受け取りを断られ、毎回パレット代が全額かかることになります。
Amazon FBA(米国)のパレット規格は?
米国のAmazon FBAでは、40×48インチの木製パレット、パレットを含めた高さ72インチ以下、総重量1,500lb以下が要件とされています。要件は随時変わるため、出荷前に最新のルーティングガイド(Routing Guide)とセラー向けの案内を確認しましょう。
40フィートコンテナにパレットは何枚積めますか?
40フィートドライコンテナ(内寸の長さ12,032mm・幅2,352mm)に1段で積む場合、ユーロパレット(1200×800mm)は向きを組み合わせて25枚、GMAパレット(1219×1016mm)は20枚が目安です。GMAは配置によっては21枚とする例もあり、実際の枚数は並べ方によって異なります。