デマレージ(demurrage)とディテンション(detention)は、輸入者が最も混同しやすい2つの料金です。そして この混同は高くつきます — どちらもコンテナ単位・日割りで、段階的に上がる料率で積み上がるからです。区別 自体は実はシンプルで、同じコンテナを2つの時計で測っているだけです。1つはコンテナがターミナルの 内側にある間、もう1つは外側にある間に回ります。本ガイドでは各料金を正確に定義し、 1本のコンテナが2つの時計を通過する過程を追い、米国 FMC の請求規則が変えた点を整理し、両方の料金をゼロに 保つ方法をまとめます。
一行でわかる違い
| 料金 | 時計が回る区間 | 開始 | 終了 | 一般的なフリータイム |
|---|---|---|---|---|
| デマレージ(超過保管料) | 実入りコンテナがターミナルの内側にある間 | 本船からの荷卸し時点 | ゲートアウト(搬出)時点 | 約3〜7日 |
| ディテンション(返却延滞料、per diem) | 船社のコンテナがターミナルの外側にある間 | ゲートアウト時点 | 空コンテナのデポ返却時点 | 約2〜5日 |
| ストレージ(保管料) | コンテナが埠頭外のデポ・CFS にある間 | 当該施設のタリフによる | 当該施設からの搬出時点 | 施設ごとに異なる |
この表から2つのことが直接導かれます。第一に、2つの料金は二者択一ではありません。搬出が遅れ、返却も 遅れれば、1本のコンテナが同じ輸入案件でデマレージを払い、続けてディテンションまで払うことに なります。第二に、フリータイムは別々の時計上の別々の許容枠です — デマレージの無料日を1日も使わなくても、 契約が明示的に合算フリータイム(combined free time)として束ねていない限り、ディテンションの許容日数は 増えません。
輸出は同じ論理の鏡像です。最早搬入可能日(earliest receiving date)より前に搬入したコンテナや、カット オフ後に放置されたコンテナにはターミナル料金が付き得ますし、バンニングのためにデポでピックアップした 空コンテナは、実入りで搬入されるまでディテンションの時計が回ります。
コンテナ1本、時計2つ: 計算例
コンテナが月曜日に荷卸しされ、船社タリフがデマレージ無料5日・ディテンション無料4日(簡単のため暦日 ベース)を与え、料率が段階的に上がるとします。
デマレージの時計: フリータイムは月〜金曜日。翌週の水曜日に搬出すると課金5日です。 1〜3日目 $150/日、4日目以降 $300/日のタリフなら、3 × $150 + 2 × $300 = $1,050 になります。
ディテンションの時計: 水曜日のゲートアウトから始まり無料4日なので、日曜日までが無料 です。空コンテナを翌週の木曜日に返却すると課金4日 — 1〜5日目 $100/日の料率で $400 が 加わり、コンテナ1本で合計 $1,450 です。
この段階的な日割り構造こそ、 デマレージ・ディテンション計算ツールがモデル化しているもの です。無料日数と契約の段階料率を入力すると、任意の搬出日・返却日に対する費用エクスポージャーが出ます — 事後の請求書検証にも、トラック会社の週末料金を払う方がデマレージ第2段階の1日より安いかの判断にも 役立ちます。
フリータイム: 一般的な水準と交渉の余地
フリータイムはタリフの条項であって自然法則ではありません。主要港の標準(非契約)許容枠はデマレージ 3〜7日、ディテンション2〜5日のあたりに集まっていますが、詳細は船社・港・方向・機材種別によって異なります — リーファーや特殊機材は通常もっと短くなります。次の3点は推測せず、自分のタリフで直接確認する価値が あります。
暦日か営業日か。 週末・祝日をフリータイムに数えるタリフもあれば、止めるタリフも、 ターミナルの非稼働日だけ止めるタリフもあります。同じ航路でも「5日」の許容枠が船社によって半週分近く 違うことがあります。
時計の開始時点。 輸入デマレージの時計の多くはコンテナの荷卸し時点に始まります — 本船の 到着時点でも、通関業者が D/O を受け取った時点でもありません。本船作業が数日にわたる場合、先に卸された コンテナから先にフリータイムを消費し始めます。
交渉できるもの。 物量のある荷主はサービス契約で延長フリータイムを交渉します — 10日、 14日、時には合算21日まで。同幅の運賃引き下げより価値があることが多いのは、フリータイムが荷主に制御 できない遅延に対する保険だからです。これらの料金が請求書の他の項目とどう並ぶかは 海上サーチャージのガイドで扱っています。
FMC 請求規則(米国航路)
パンデミック期の港湾混雑でデマレージ・ディテンションが紛争製造機と化したのを受け、米国連邦海事委員会 (FMC)は D&D 請求に関する最終規則を公布し、2024年5月に発効しました。米国航路の貨物について、実務上 3つのことが変わりました。
請求できる相手。 請求書は船社と輸送を契約した当事者(または荷受人)のみに発行でき、 見つけやすい中間業者の誰にでも送れるわけではなく、2当事者への同時請求もできません。海上輸送を契約して いないトラック会社には請求できません。
期限。 船社は料金発生が終了した日から暦日30日以内に請求書を発行しなければならず、 被請求者に減額・返金・免除を求めるための期間を暦日で最低30日保証しなければなりません。
請求書の記載事項。 規則は最低限の記載情報を定めています — コンテナ番号、課金日、 フリータイムの開始日・終了日、適用料率など。必須記載事項を欠く請求書は規則上適正に発行された請求書では なく、これは異議申立の具体的で引用可能な根拠になります。ゲートアウトと空返却の記録(EIR)は自分でも 保管してください — 紛争はタイムスタンプで勝つものです。
両方の料金をゼロに保つ
効果のある戦術は結局1つに収束します。荷卸しから空返却までの時間を圧縮すること、そしてその圧縮を本船 到着前に始めることです。
到着前: 通関を事前申告して荷卸し前に引取可能な状態を作り、本船 ETA ではなく想定荷卸し日 を基準にトラックとシャーシを予約してください。シャーシ不足は、コンテナが搬出可能なのに無料日を燃やして しまう古典的なパターンです。
フリータイム中: 最後の無料日ではなく期間の前半に搬出してください — 最終日のゲート混雑や 予約不成立が1回あるだけで、そのままデマレージ第1段階の課金に変わります。倉庫がすぐに荷卸しできない 場合、ドロップ&フック(コンテナをシャーシごとヤードに置く方式)はトラック会社のシャーシ賃料と船社の ディテンションを交換する取引です — 勘ではなく計算ツールで 数字を比べてください。
荷卸し後: 空コンテナは速やかに返却し、まず返却場所を確認してください。デポは曜日ごとに 受け入れる機材種別を制限しており、返却拒否は無駄足のコストにディテンション日数まで上乗せします。物量の 大きい航路では荷主所有コンテナ(SOC)がディテンションの時計そのものを消します — 慢性的に混雑する航路で SOC が登場する理由です。そもそも貨物をどの形態で送るべきかという別の問いには FCL vs LCL を参照してください。
デマレージとディテンションの違いは何ですか?
デマレージ(超過保管料)は、実入りコンテナがフリータイムを超えて港のターミナル内に留まっている間に課金されます。ディテンション(返却延滞料、per diem)は、コンテナがターミナルを出た後、空コンテナをデポに返却するまで船社の機材を借り続けることに対して課金されます。同じコンテナに2つの別々の時計が回っているイメージです。
フリータイムは通常何日ありますか?
標準タリフでは、ターミナルでのデマレージのフリータイムが約3〜7日、機材のディテンションのフリータイムが約2〜5日が目安ですが、正確な日数は船社・港・契約によって異なります。物量のある荷主はサービス契約で合算14〜21日を交渉するのが一般的です。
デマレージは港が課金するのですか、船社ですか?
コンテナはターミナルの敷地内にありますが、通常は船社が自社タリフに基づいてデマレージを請求します。港によってはターミナル自体の保管料タリフが並行して、または代わりに適用されることもあります。ディテンションは船社のコンテナに対する賃料の性格なので、常に船社の請求です。
コンテナ輸送の per diem とは何ですか?
Per diem はディテンションの北米トラック業界での呼び方です。フリータイムを超えて船社のコンテナ(場合によってはシャーシも)をターミナル外で保有することに対する日割り料金で、請求書上の per diem と detention は同じ料金を指します。
デマレージ・ディテンションの請求に異議を申し立てられますか?
可能です。米国航路では FMC の2024年請求規則により、請求書は輸送を契約した当事者のみに、料金発生終了後30日以内に発行され、最低限の記載事項を備えていなければならず、被請求者には少なくとも30日の異議申立期間が保証されます。要件を満たさない請求書は適正な請求ではありません。
デマレージとディテンションを回避するには?
本船到着前から時計の管理を始めることです。通関を事前に済ませ、ETA ではなく荷卸し日を基準にトラックとシャーシを手配し、フリータイムの前半でコンテナを搬出し、速やかに荷卸しし、ドライバーが出発する前に空コンテナの返却デポが該当機材を受け入れるか確認してください。