解説記事 / デマレージとディテンションの違い|フリータイムと計算例

デマレージとディテンションの違い|フリータイムと計算例

デマレージはターミナル内、ディテンションはターミナル外でかかる料金です。陸揚げ・搬出・空コンテナ返却の起算と終了、フリータイムの確認点、米国FMCの請求ルール、2つの料金を抑える段取りを解説します。

更新日:2026-09-26

目次

デマレージとディテンションは、どちらも「フリータイムを過ぎたコンテナ」にかかる料金です。名前が似ているうえ請求書に並んで載るため混同されやすいですが、両者の違いは、コンテナがターミナルの中にあるか外にあるかです。1本のコンテナに対して、置き場所ごとに別々の期間が数えられます。

料金はコンテナ1本当たり・1日当たりで計算され、超過が長引くほど日額が段階的に上がります。本数が多い輸入では、数日の遅れがそのまま大きな金額になります。FMC(米国連邦海事委員会)が集計したデータでは、主要船会社9社が2020年4月1日~2025年3月31日に徴収したデマレージ・ディテンションは約154億ドル(USD 15.4 billion)にのぼります。

この記事では、FCL(フルコンテナロード)の輸入を中心に、それぞれの起算・終了のタイミング、仮定の料率を使った計算例、フリータイムの確認ポイント、米国FMCの請求ルール、2つの料金を発生させないための段取りを解説します。なお、フリータイムや料率は船会社・港・契約によって異なり、本文の数値はあくまで例や仮定値です。

デマレージとディテンションの違いとは?

デマレージ(超過保管料とも呼ばれます)とは、陸揚げされた実入りコンテナがターミナル(または船会社の内陸CY)の中で、フリータイムを過ぎても引き取られずに置かれている場合にかかる1日当たりの料金です。対象期間は、陸揚げからゲートアウト(搬出)までです。

ディテンション(返却延滞料とも呼ばれます)とは、船会社が所有するコンテナをターミナルの外で、フリータイムを超えて使い続けた場合にかかる1日当たりの料金です。輸入では、実入りコンテナの搬出から、指定場所への空コンテナ返却までが対象です。

デマレージ・ディテンションとは別に、ターミナル外のCFSやオフドックの蔵置場、あるいはターミナル運営者自身が課す保管料もあります。こちらはその施設のタリフで決まり、扱いは船会社や地域によって異なります。例えば、Hapag-Lloydのドイツ向け輸入ではターミナルの保管料がデマレージに含まれて別途請求されません。一方、Maerskのセーシェル向けでは保管料を港湾運営者に直接支払います。

料金かかる条件(コンテナの場所)起算終了フリータイムの例
デマレージ実入りコンテナがターミナル内陸揚げ(起算の決まりは船会社ごと)ゲートアウト(搬出)Hapag-Lloyd ドイツ向け輸入:4日(暦日)※タリフで確認
ディテンション船会社のコンテナがターミナル外搬出空コンテナ返却(デポ)船会社・契約ごと ※タリフで確認
保管料ターミナル外のデポ・CFSに蔵置施設のタリフによるその施設からの搬出施設ごと

2つの料金は、どちらか一方だけがかかるとは限りません。搬出が遅れ、さらに返却も遅れれば、同じコンテナにデマレージがかかったあと、続けてディテンションがかかります。

フリータイムとは、船会社と荷主の間で取り決めた無料の期間のことです。原則として、デマレージとディテンションにはそれぞれ別のフリータイムがあり、デマレージで使い残した日数をディテンションに回すことはできません。例外は、デマレージ・ディテンション合算のタリフです。陸揚げ日から空コンテナ返却までを1つの期間として暦日で数える方式で、例えばMaerskのセーシェル向け輸入では、20フィート・40フィートのドライコンテナが合算10日、リーファーコンテナが3日、特殊コンテナが5日です。

輸出では同じ考え方が逆向きに働きます。空コンテナをCYやデポから搬出してから、実入りコンテナをターミナルに搬入するまでがディテンション、ターミナル搬入から船積みまでがデマレージです。最初の搬入可能日より前に持ち込んだ場合や、CUT日(搬入締切日)を過ぎて残った場合には、ターミナルの料金がかかることがあります。

また、南米の多くの国では用語の意味が逆で、港の外がデマレージ、港の中がディテンションと呼ばれます。取引相手とは、どちらの意味で使っているかを確認しておきましょう。

計算例:1本のコンテナに両方かかる場合

仮定の条件で、1本のコンテナがデマレージとディテンションの両方を経る場合を計算します。日数は暦日で、起算日を1日目とし、終了日も含めて数えます。

デマレージ:月曜日に陸揚げされ、フリータイムは5日です。陸揚げ日を1日目とするため、月曜~金曜が無料になります。搬出が翌週の水曜日だった場合、総日数は10日で、超過日数は10-5=5日(土曜~水曜)です。料率は超過1~3日目がUSD 150/日、4日目以降がUSD 300/日とします。

3×150+2×300=USD 1,050

ディテンション:水曜日の搬出日を1日目とし、フリータイムは4日です。水曜~土曜が無料になります。翌週の水曜日に空コンテナを返却した場合、総日数は8日で、超過日数は8-4=4日(日曜~水曜)です。料率は超過1~5日目がUSD 100/日とします。

4×100=USD 400

よって、このコンテナ1本の負担は2つの料金を合わせてUSD 1,450となります。超過が数日延びるだけで高い日額の区間に入るため、1日の差が思った以上に効いてきます。

デマレージ・ディテンション計算ツールでは、開始日(陸揚げ日・搬入日)・終了日(搬出日・返却日)・フリータイム・コンテナ本数と、第1期間・第2期間(日数と日額)・それ以降の日額を入力すると、超過日数と料金が表示されます。一度に計算できる期間は1つなので、デマレージ(陸揚げ→搬出)とディテンション(搬出→返却)は別々に計算して合計します。合算タリフの場合は、陸揚げ日から返却日までを1回で計算します。届いた請求書の検算や、搬出日・返却日をずらした場合の金額比較に使えます。

上の例をツールで再現する場合の入力は次のとおりです(日付は曜日を合わせた例)。

  • デマレージ:開始日2026年10月5日(月)、終了日2026年10月14日(水)、フリータイム5日、第1期間3日×150、第2期間0日、それ以降300 → 1,050
  • ディテンション:開始日2026年10月14日(水)、終了日2026年10月21日(水)、フリータイム4日、第1期間5日×100 → 400

ツールは暦日で数えるため、営業日ベースのタリフや、土日祝日を除く数え方には対応していません。

フリータイムは何日?確認と交渉のポイント

フリータイムの日数は、船会社・港・契約ごとに決まっています。「デマレージは3~7日程度、ディテンションは2~5日程度」といった目安が語られることもありますが、あくまで業界の通念です。実際の日数は、必ず該当するタリフで確認しましょう。

公開タリフの例を挙げます。

  • Hapag-Lloyd ドイツ向け輸入(2026年1月1日施行):Hamburg・Bremerhavenの20フィートドライコンテナのデマレージは4日(暦日)、Wilhelmshavenは7日
  • Hapag-Lloyd 米国向け(2023年10月1日~2024年6月14日の失効済みタリフ):陸揚げ日+4営業日
  • Maersk セーシェル向け輸入(2026年4月1日施行):デマレージ・ディテンション合算で、ドライコンテナ10日
  • 釜山新港のHJNC:輸入貨物のフリータイム4日。ただし、これはターミナルの保管料の基準で、船会社のデマレージとは別物です

日数の数え方を確認する

同じ「N日」でも、暦日で数えるタリフと営業日で数えるタリフがあり、実際の期間は変わります。土日祝日を含めるかどうかも船会社によって異なります。Hapag-Lloydでも、ドイツ向けは暦日、米国向けは営業日でした。

デマレージの起算点も、本船の到着時、陸揚げの途中、陸揚げ完了後と船会社ごとに違います。例えば、Hapag-Lloydのドイツ向けは陸揚げ日から起算し、Maerskの米国向けは陸揚げ翌日以降の最初の営業日の午前8時から起算します。ディテンションは、Maerskの米国向けではコンテナが船会社のCYを出た日から数えます。本船1隻の陸揚げには通常2~3日、例外的に1週間ほどかかることもあります。先に陸揚げされたコンテナほど、フリータイムを先に使い始める点に注意が必要です。

特殊コンテナは短い

リーファーコンテナ、特殊コンテナ、危険品、オーバーゲージ(高さや幅が規格を超える貨物)は、ドライコンテナよりフリータイムが短く設定されるのが一般的です。例えば、Hapag-Lloydの米国向けは一般4営業日、特殊コンテナ3営業日、稼働中のリーファー2営業日でした。HJNCは一般4日に対し、危険品・オーバーゲージ・リーファーは3日です。

延長は交渉できる

物量のある荷主は、サービスコントラクト(荷主が一定量の船積みを約束して割引運賃を得る、船会社との年間契約)の中でフリータイムの延長を交渉できます。Maerskは、延長可能なフリータイムを選べるスポット商品も用意しています。フォワーダーを通じて延長や料率を交渉する方法もあります。何日まで延ばせるかは契約次第です。

港の混雑や通関保留のように自社では防げない遅れを考えると、フリータイムの延長は保険のような意味を持ちます。場合によっては、同じ程度の運賃値下げより価値が大きいこともあります。

デマレージ・ディテンションが請求書の中でほかのサーチャージとどう並ぶかは、海上・航空運賃のサーチャージ解説で整理しています。

米国FMCの請求ルール(46 CFR Part 541)

米国向けの取引では、デマレージ・ディテンションの請求書にFMCの規則が適用されます。日本の荷主でも、米国に着いた貨物についてこの請求書を受け取ることがあるため、要点を押さえておきましょう。

対象と施行日

46 CFR Part 541は、海上運送人・海上ターミナル運営者・NVOCC(利用運送事業者)が発行するデマレージ・ディテンションの請求書を対象とし、2024年5月28日に施行されました。根拠はOcean Shipping Reform Act of 2022(OSRA 2022)です。対象にはper diemも含まれます。

期限

  • 請求書は、料金の最終発生日から30暦日以内に発行する必要があります。期限を守らない請求は支払い不要です。
  • 減額・返金・免除を申請できる期間として、発行日から最低30暦日が確保されています。

請求書の必須記載事項

  • 識別:船荷証券(B/L)番号、コンテナ番号、輸入の場合は陸揚げ港、請求先がその料金を負担すべき当事者である根拠
  • 期間:請求日、支払期限、フリータイムの日数、開始日・終了日、輸入の場合は搬出可能日、料金がかかった日付
  • 料率:総額、根拠となる規定(タリフやサービスコントラクトの条項など)、適用料率
  • 異議申立て:問い合わせ先、申請方法の案内、申請の期限
  • 証明:FMCの規則に準拠していること、請求者側の責任で生じた料金ではないこと

必須情報が欠けている請求書については、支払い義務がなくなります。記載漏れは、そのまま具体的な異議申立ての根拠になります。

請求先の制限条項は無効に

請求できる相手を運送契約の当事者や荷受人に限っていた条項(§541.4)は、2025年9月23日の連邦控訴裁判所(D.C. Circuit)の判決で無効とされ、2025年12月29日にCFRから削除されました。それ以外の条項は引き続き有効です。なお、船会社の約款にも注意が必要です。例えば、Maerskの米国向けでは、代理人など別の当事者への請求を依頼した場合でも、最終的な支払い責任は荷主・荷受人に残ります。

記録を残しておく

搬出と空コンテナ返却の日時は、EIR(機器受渡証)などの記録を自社でも保管しておきましょう。請求書に記載された日付と突き合わせる際の根拠になります。

デマレージ・ディテンションを発生させない段取り

完全に避けられない場面はあっても、2つの料金は大きく減らせます。基本は、陸揚げから空コンテナ返却までの時間を短くすること、そして本船が着く前に動き始めることです。

本船到着前

  • 事前に通関を済ませ、陸揚げの時点で搬出できる状態にしておきます。
  • ドレージとシャシーの予約は、本船のETA(到着予定日)ではなく陸揚げ予定日を基準に入れます。
  • シャシーが足りないと、搬出できる状態なのにフリータイムを使い切ってしまう原因になります。

フリータイム中

フリータイムの最終日まで待たず、早めに搬出しましょう。最終日に動くと、ゲートの混雑や予約漏れが1件あるだけで、そのまま超過料金に変わってしまいます。Maerskの米国向けの方針でも、最終日まで引き取りを待たないよう促すこと、ターミナルの予約制度の利用を進めることが目的として示されています。

倉庫ですぐに荷降ろしできない場合は、ドロップ・アンド・フック(コンテナをシャシーに載せたまま置いて行き、トラックは別のシャシーを牽引して戻る米国の方式)も選択肢です。この場合は、トラック会社のシャシー使用料と船会社のディテンションを比べて判断します。比較にはデマレージ・ディテンション計算ツールで返却日ごとのディテンションを出しておくと便利です。

荷降ろし後

荷降ろしが終わったら、すぐに空コンテナを返却します。返却先は事前に確認しておきましょう。デポによって受け付けるコンテナの種類や曜日が決まっており、返却を断られるとトラックの手配が無駄になるうえ、ディテンションの日数も増えます。

SOCという選択肢

SOC(荷主所有コンテナ)は船会社の機器ではないため、ディテンションの対象になりません。ただし、デマレージは残る場合があります。Maerskの米国向けでは一部の地域でSOCにもデマレージがかかり、Maerskのセーシェル向けではデマレージ・ディテンションのどちらも対象外です。また、Maerskの米国向けでは、SOCを空の状態で船会社の施設に返却すると、1本当たりUSD 2,000が後から追加請求されます。

そもそもコンテナ単位の輸送が合っているかどうかは、FCLとLCL(混載貨物)の違いもあわせて確認してください。

デマレージとディテンションの違いは何ですか?

どちらもフリータイムを過ぎたコンテナに1日当たりでかかる料金ですが、コンテナがどこにあるかで分かれます。デマレージは、実入りコンテナがターミナル(または船会社の内陸CY)の中に置かれたまま超過した場合の料金で、陸揚げからゲートアウト(搬出)までが対象です。ディテンションは、船会社のコンテナをターミナルの外で使い続けた場合の料金で、輸入では搬出から空コンテナ返却までが対象です。同じ1本のコンテナに、両方が続けてかかることもあります。

フリータイムは通常何日ですか?

船会社・港・契約によって異なり、一律の日数はありません。例えば、Hapag-Lloydのドイツ向け輸入では、Hamburg・Bremerhavenの20フィートドライコンテナのデマレージが4日(暦日)、Wilhelmshavenが7日です。暦日で数えるタリフと営業日で数えるタリフがあり、同じ「4日」でも実際の期間は変わります。リーファーコンテナや特殊コンテナは、ドライコンテナより短く設定されるのが一般的です。物量のある荷主は、船会社との契約でフリータイムの延長を交渉できる場合があります。

デマレージは船会社と港のどちらが請求しますか?

多くの場合、船会社が自社のタリフに基づいて請求します。ただし、ターミナル運営者が自前のデマレージや保管料を直接請求するケースもあります。例えば、Maerskのセーシェル向けでは保管料を港湾運営者に直接支払う扱いです。ディテンションはコンテナを所有する船会社の料金で、NVOCC(利用運送事業者)が自社の顧客に請求する場合もあります。

per diemとはどういう意味ですか?

米国の実務で、ディテンションと同じ料金、つまりターミナルの外で使っている船会社コンテナの1日当たりの使用料を指して使われる言葉です。米国FMCの規則(46 CFR Part 541)でも、対象となるデマレージ・ディテンションの請求にper diemが含まれます。

デマレージ・ディテンションの請求に異議を申し立てられますか?

米国の取引であれば、FMCの規則(46 CFR Part 541、2024年5月28日施行)に基づいて争えます。請求書は料金の最終発生日から30暦日以内に発行する必要があり、期限を過ぎた請求は支払い不要です。請求書には船荷証券(B/L)番号、コンテナ番号、フリータイムの日数と開始日・終了日、適用料率などの記載が必要で、必須情報が欠けていれば支払い義務はありません。減額・返金・免除の申請期間は、発行日から最低30暦日が確保されています。

デマレージとディテンションを避けるにはどうすればよいですか?

本船が着く前から準備を始めることが基本です。事前に通関を済ませて陸揚げ時点で搬出できる状態にし、ドレージの手配は本船のETA(到着予定日)ではなく陸揚げ予定日を基準に予約します。フリータイムの最終日を待たず早めに搬出し、荷降ろし後はすぐに空コンテナを返却しましょう。返却先のデポが受け付けるコンテナの種類や曜日も事前に確認が必要です。

1本のコンテナにデマレージとディテンションの両方がかかることはありますか?

あります。搬出が遅れればデマレージが、空コンテナ返却が遅れればディテンションが発生し、同じコンテナに順番にかかります。例えば、デマレージが超過日数5日でUSD 1,050、ディテンションが超過日数4日でUSD 400という仮定の料率では、1本で合計USD 1,450です。

SOC(荷主所有コンテナ)ならディテンションはかかりませんか?

SOCは船会社の機器ではないため、ディテンションの対象外です。ただし、デマレージは残る場合があります。Maerskの米国向けでは、一部の地域でSOCにもデマレージがかかり、SOCを空の状態で船会社の施設に返却すると、1本当たりUSD 2,000が後から追加請求されます。

出典

最終確認日: